2023年3月 

 タテヨコ企画の青木柳葉魚さんの「水辺にて」の感想文を掲載させていただきました。

 

中央

☆「水辺にて」の豚君(とんくん)の場面。左、実子の稲川実代子。右、踊る豚君(市川敬太)。   

 
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 「水辺にて」に出演してくださったタテヨコ企画の舘さんが、同じ劇団で俳優・演出・作で活躍しておられる青木柳葉魚(柳の葉っぱの魚と書いて「ししゃも」と読むそうです)さんがご自分のTwitterに書き下ろしたいたポテトの「水辺にて」の感想を書いてくれました。
 青木さんご本人にお願いして、掲載許可をいただきましたので、読んでみて下さい。ぼくはトテモ面白かったです。
 
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昨日、菅間馬鈴薯堂観てきました。
まさか、このワシが、馬鈴薯堂を観て泣く日がくるとは??
しかも市川くんで。
市川くんの顔で。
マジ泣きした。
 
川辺に訪れるどこか懐かしい愛すべきダメ人間たちを描いたスケッチみたいな作品なのですが何だか今までで一番寂寥感が強くて。祭りの始末のような寂しさでした。
思うとこがあったので細々感想を書いときます。
 
村田さんも津田さんも決して器用な俳優じゃないと思うんだけど、そんな彼らが緊張感の中でとても自由に面白がって芝居してるのがすごく素敵でした。大間さんと津田さんのシーンとか完全に目に毒注意レベルなんだけど最高にバカで愛しかった。
 
西さんと舘さんはもはや何万回目の夫婦役でしょう?? 二人とも菅間色なように見えてもはや舘であり西なのでした。ひと昔前は菅間塾なんて言ってたけどもうとっくに独立してすごく自由になってた。大したもんだす?? オラ感動した!
 
20代前半の田中さゆきさんが常連のジジババにまったく引けを取らない存在感で舞台上にいて素晴らしかった。なかなか理解し辛いカンパニーだと思うんですよ、馬鈴薯堂って、若い人には。でも、このジジババから何か掴めたらきっと他の芝居の役に立つはずなのです。今後に期待です。
 
稲川さんに対して言うことなんかない。スゲぇ婆さんだ。誰よりも芝居を包み込んで受け受けとめる。そして誰よりも存在を爆発させる。
冒頭、舞踏的に少し踊る?動く?のだけど、これがよく分からないけど目が離せなかった。
なんだあれ。生きてるの。生き物。凄い。
 
市川くんで泣いたと書いた。彼の役柄は川辺に住んでるルンペンのような人だと思うんだけど、軍帽をかぶってトイレットペーパーの芯を弾帯のように巻いているわけです。
僕らの世代ってそういう人が生活圏内に存在した最後の世代だと思うんです。戦争とか戦後を感じさせる人たち。
 
で、彼らはもう居ない。もちろんすでに亡くなったから居ないわけなんだけど、それそのものじゃない「そのようなもの」をとにかく排除し押し隠し消去した東京(もしくは日本)って街が今ここにあって、その消し去られた者としての豚君(市川くん)の笑顔がめちゃめちゃ哀しかったのです。
 
40も半ばを過ぎて死からの逆算で未来のことを考えるようになってきた。そんなだからか『水辺にて』にどこか菅間さんの遺言めいた部分を感じて少し動揺した。おいおい!もっと元気にわけ分からんしぶとい芝居作ってくれよ!って。
 
でもそれは紛れもなく甘えなわけで。今まで自分が菅間さんたち先輩方に抱いていた尊敬とか嫉妬とか不満とかそういう諸々の演劇に関する想いをもういい加減僕らは背負わなきゃいけないわけで。・・・ってちょっと何言ってんだかわかんないすね。やめます。
 
というわけで哀しいような寂しいような気持ちと共に不思議と前向きな気持ちになった情緒不安定おじさんな私です。はい、今出来ることをコツコツやりますです。
 
左寄せの画像  
 
 
 
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 ■ 青木柳葉魚さんのTwitterへ。
 
 
 
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