日付:2018年2月

 我が家の昼飯事情  めんつゆ作り困難篇

 

蕎麦

我が家の昼飯:自家製そばつゆ、天かす、乾麺のもり蕎麦  

 

 
 自宅でめんつゆ作りをはじめて三年になるが、出汁の濃度の問題をほとんど勘でやり過ごしていたので、濃度の自分勝手な思い違いのめんつゆをしばらくの間作ってしまっていたらしい。
 小学校か中学校で『塩分5%の濃度の塩水を100cc作るには、塩何グラム必要ですか?』、こんな問題を習ったような気がする。
 食塩水作りとめんつゆ作りは違うが、まずはここから復習しておかないとまた間違えてしまう。
 
   食塩水の濃度は、 = 食塩の重さ ÷ 溶液の全体の重さ × 100
 
 食塩水(溶液)の重さには、水だけでなく、食塩の重さも含まれる。
  例) 食塩20(g)が水100(g)に溶けているとき、食塩水の濃度は20%ではない。
     食塩水120(g)のうち20(g)が食塩だから、20÷120×100=16.7(%)となる。
 
 たとえば、ワイン・ボトル一本分の720cc(±50cc)のめんつゆを作りたい、とする。
 
   (1) 約800ccの水を沸騰させ、カルキを抜くために1分間ほどそのまま沸騰させる。
   (2) 鰹+鯖節を30gを沸騰したお湯へ投入し、5分ほど強火から弱火にしてアクを採る。
   (3) 鍋に蓋をして3分ほど放置。鰹節、鯖節を取ると(蒸発後)約650ccの出汁ができる。
   (4) 再度、出汁を沸騰させアクを採り、かえし200cc入れ、再沸騰する直前に火を止める。
   (5) 瀬戸物の器にめんつゆを移し冷ます。すると約800cc前後のめんつゆが出来上がる。
 
 この作業過程のどこに思い違いがあったかというと、沸騰したお湯に対しての鰹節、鯖節等の量が少なかったことが判ってきた。
 具体的には、(4)と(5)の過程で650ccの出汁は再度沸騰させたり、冷ましたりで蒸発して結果として600ccに減ってしまうから、その600ccに対して5%(この数字はネットで知った)の割合の鰹+鯖節を30gでよいのではないかと考え、実際そのように作業をしていた。
 
 以後、鰹節・鯖節の割合をいろいろと実際に試してみたて判ってきたことは、
  最終的に800ccのめんつゆを作りたいのなら、600ccに対しての5%=30gではなく、
  (かえしの量を加算した全体の溶液) 800ccの5% = 40g
  にするべきだ、ということがじぶんなりに少しずつ判ってきた。
 現在は鰹+鯖節を増量しめんつゆを作っている。5%という数字の正否ではなく、こういうめんつゆ濃度の理解の仕方が正しいのか間違っているのかは素人だからまったく判らないのが正直なところだ。
(……間違っているのなら、ご指摘、いただきたいです!……)
 
 しかし以下も素人の勝手な判断だが、基本的には鰹+鯖節を煮て、<旨味>の主成分であるイノシン酸等を抽出するのだから、結果的にめんつゆに含まれるイノシン酸等の濃度がどれくらいが適切なのか、その濃度が判明すれば鰹+鯖節等の投入量も自然と判るはずだ。
 
  食塩水に含まれる食塩の重さは、 = 溶液の全体の重さ × ( 溶液の濃度 ÷ 100 )
 
 で求められるから、めんつゆ作りでの600ccの出汁を採る場合の鰹節・鯖節の割合を7%弱と考えれば42gとなるら、なにもかえしのを入れての溶液全体の5%と考えなくていいのかもしれない。
 また、使用する鰹節・鯖節の品質によっても投入の割合が若干違ってくるのも当然だ。
 後述するが、現在、我が家で使用しているのは、粉末状の形態のものが多く含まれるいわゆる雑節と呼ばれて捨て値のような値段で売られている安価な鰹節で、お蕎麦さんで使用している厚削りの鰹節(100g=\500~\800)などはとても高価で買えない。めんつゆ作りの必要な鰹節・鯖節は、我が家では日常生活品だからだ。
 どのように濃度の問題を考えるのかは別にして、限度はあるにしても、やはりたっぷり鰹節・鯖節を投入した方が美味しい出汁が採れるということなんだろうか、そう考えなさいといわれているのだろうか。
 
 
 
 なんでめんつゆ作りをはじめたのかというと、わたしが失職して、毎日の昼飯当番を家人に仰せつかってと四年ほどが経つ。昼飯といっても昼近くに起きるから朝飯・昼飯兼用で、うちでは麺類を食べることに自然なりゆきで決まっていて、メニューは、日本蕎麦、うどん、ラーメンの代わりばんこ、夏はそれらに冷麦や冷やし中華が加わったりする。ラーメンや冷やし中華の割合よりやはり日本蕎麦、うどん、冷や麦、素麺を多く食べる。だが市販のめんつゆは甘く感じて嫌だったので、じゃじぶんで作ってみようということになった。
 
 
左寄せの画像  では、どんな蕎麦を毎日の昼飯に食べているのか、それを話さなければ話が進まないので、現在、食べているそばからの話をすると、そばは生麺から乾麺まで近所のスーパーでいろいろ買って試した。市販の「八割そば」、「更科そば」、「茶そば」、「信州○×そば」、半生麺のそば、いろいろ試したがそれなりに美味しかったが、いま我が家では薬屋のパパスで売っている宮城県のはたけなか製麺の格安乾麺230g入り100円の「きそば」と決めている。美味さと値段のパフォーマンスが他の乾麺に較べて断然優れている。麺は少し太めの田舎風の麺だが、乾麺特有のザラザラ感がなく喉越しもよく、日本蕎麦の昼は、はたけなか製麺の「きそば」を300gに増量して食べている。
 
 うどんも、いろいろ試した。乾麺、茹でうどん、半生麺。うどんは噛み応えというのか喉越しというのか、それらをどうしても求めてしまうから、茹でうどんはまず却下で、最近は近くのスーパー・ライフの5食入り200円か、同価格のカトキチの5食入りの冷凍麺にしている。乾麺よりはるかに噛み応え喉越しがあって美味しい。
 
左寄せの画像  ラーメンは、マルちゃんかシマダヤの3食入りの生麺、醤油・湯麺・味噌の三種類あるからこれらを交互に買って食べている。乾麺も好きで福岡のマルタイの棒ラーメン、ラ王、この二つはふざけてんじゃないかと思うくらい生麺にはないインスタント・ラーメン独自のジャンク味を展開していて実に美味しい。男手でも乾麺やインスタント食品はつくるのも比較的に簡単で、手早く、食後の鍋や食器などの洗いものも少なくて済む。
 ラーメンに付録のスープが入っていない生麺を買ってきたときは、おろしニンニク、豆板醤、キムチ、固形ブイヨン、顆粒の鶏ガラの素等でスープを作り、ま、それなりに美味しく食べている。なにより失職中の身としては、安価に作れて、なにより後かたづけが簡単でうれしい。我が家のチープ嗅が倍増してきた。
 
 特に昼飯に多く食べるのはやはりざるそばだ。ざるそばは乾麺を茹でて水洗いし海苔を散らすだけで簡単だし、それに夏でも冬でもざるそばの素朴でシンプルな味と簡単に作れるところがいいし食器洗いも簡単だし、やはりざるそばとなる。
 問題はめんつゆで、スーパーなどで販っている市販のめんつゆはほとんど使わない。もりやざるの付け汁にすると、ただ甘塩っぱいだけで美味しいと思ったことは一度もない。仕方がないときは、大根おろし、天かす、鶏卵、青唐辛子、ミョウガ、ひきわり納豆に多めのネギの薬味を入れ、味を誤魔化して食べる。とくに天かすは大変に役立っていて、天かすを入れるだけでひと味違う。でも市販のめんつゆは、暖かい蕎麦を食べるときに、煮物を作るときは重宝する。めんつゆのの出現は世の奥さんたちが台所で出汁を採る手間を省いてくれた意味をもつ自立した大きな調味料ということはできるだろう。
 
 
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 はじめに食塩水の濃度の問題を出してしまって後先が違ってしまったが、濃度の問題をどう考えていいのかわからず困っていたので書いてしまった。
 
 ふりだしに戻して、まず「かえし」作りから入ってみたい。
 かえしは、醤油、みりん、砂糖(中ザラメ)の三つの材料で作る。まずはそれらの配分率のデータ集めること。次に、そばつゆにはどんな醤油を買ったらいいのか、みりんや砂糖はどんなものがいいのか、出汁を採る鰹節等はどんなものがよく、どこで売っているのか、醤油や砂糖を煮詰める温度や時間は、出汁を採る際の火加減は?
 
 まったく判らず、手漕ぎボートで隅田川を遡行しているような日々が続き、でも、みようみまねでいちばんはじめに作っためんつゆが思いのほか美味しくできあがり、家人も「それなりに美味い」といい、これならオレにもできるかもしれないという思いで工夫を重ねていった。だが工夫を重ねる度にいちばんはじめに作った美味しいと感じたじぶんなりの原型的な味から徐々に遠く離れていくようで、オレはなにをやっているんだと途方にくれてしまった。
 
 原型的な味といっても、なにがどのように原型的なものなのかと問われたら、もちろん応えようもない。ただ子どもに食べた頃の町の蕎麦屋さんのそば汁の味や記憶をたよりに、思い込みの偏りも交えて「この味だ」というのがじぶんの心の内に残っている(……実際に味の記憶など少しも残っていないが、思い出のあの真っ黒な汁と甘味を抑えながら、旨味がある)ものを原型的(初源的)ということにした。
 たとえば、わたしら下町のバカガキたち好んで食べた駄菓子屋で子供時代に買って食べたソースせんべい、梅ジャムせんべい。いまではそれらの味はすっかり忘れてしまったが、それらの駄菓子の味は子供の心と身体との無意識にまで届くような遊びとしての味そのものだった。そして、まったくその味と同質の味をいまご馳走してもらったところで、『この味じゃない』と言い張るに決まっているが、そんな心のなかでこしらえた幻の味のの再現は不可能びきまっているが、どうしえも諦めきれない味なのだ。
 そんなもん原型的なものでもなんでもないじゃないか、大袈裟なことをいうな、といわれてしまえばその通りだ。現実的には市販のめんつゆの甘さを払底できて、その上市販のめんつゆに劣らない旨味がでてくればそれでいいのだ。だがそれは作ることの現実的な大切な一方の課題に過ぎない。作ることの極北には、作ろうとする人間の個人的なメタフィジカルな課題が必ずどこかにあるはずだ。そんな課題を持たないとすればとっくに専門の料理人になっているか、料理など作らないだろう。
 『だから素人は御しがたい』といわれてしまえばやはりその通りだが、<素人だから>そんなことを求めることができるのだ、そうもいえるのではないか……、
 
 
 この半年間のめんつゆ作りの試行錯誤の失敗の過程で、ずぶの素人が自家製めんつゆを作るに及んで守らざるをえない原則が三つ見えてきた。
   (1)年金生活者の可能な範囲で、できるだけ安価に作りたい。
   (2)ネットや電車などを使用せず、近所のスーパーなどで容易に入手できる食材を使用する。
   (3)高度で複雑な曖昧味さを求めることなどずぶの素人には到底できないので、じぶんなりの原型的なイメージにへ近づける素朴で単純な、それでいて野趣のある味、その作業行程の素朴化と単純化を考える。
 
 別に蕎麦屋に商売替えをするのではないから、
<初老の貧乏な夫婦の家庭内での昼飯用という生活の域内で、かつ「うちは貧乏」というイメージを、歯ぎしりしながら固持するのではなく、美味しいものはやっぱり美味しいし、美味しいものが食べたいぞという感性の解放に向かって>、つまり作り上げる過程を「楽しんでるかい? 楽しんでるヨ!」という方向を目ざすこと。これが上の三原則の底流に流れる河だ。
 
 最後は、作業工程に入る前の不可欠な情報収集だ。
 
    (1) 「かえし」や「だし」の配分率。 データ等の収拾。
    (2) 食材の品質。 どんなものを買えばいいのか、 データ等の収拾。
    (3) 実際の素材の混合比率、作業の温度管理、保存方法。
 
 
 まず「かえし」を作るためデータを集めてみた。
 
 (1) ヒゲタ醤油のHPから昔ながらの標準的な配合を参照。
 
 (2) ネット上のそばつくりを本格的に詳細に解説されている「かないまる」さんのHPを参照。
 
 (3)同様にネット上のそばつゆのさまざまHPから「かえし」の配分率の統計を採ったHPから、
 
 (4)最後に、残念ながら長く続くこの不景気で廃業してしまったが荒川区町屋のそば屋の隠れた名店「喜利屋」のご主人の談話を参照。
 
 おそば屋の「喜利屋」さんの配分率を採用しつつ、自家版として甘さを控えめにした配合比率。