日付:2020年12月7日 

 木村真悟さんへのインタビューの映像とそのテキスト化(4)です。

 

左から、小形知巳様、木村紀子様、木村真悟様 (4) 

 

▼  第四話   録画時間:11分48秒
 
 「あたし、もうご飯、作るの嫌になっちゃった!」
 
 

 
● 菅 間   『全国の精神保健福祉センター』の話で二つだけ気になる記載は、女性の自殺者が増えたっていうこと、また「緊急事態宣言」以降、やっぱりいちばん低所得者層が職を喪っていくという点、これやっぱりコロナ以降の問題に入ってくるなと思うんですけどね、
 
● 木 村   そうだよね、ほんとにそうだよね。
 
● 菅 間   うちの女房なんかみてて、冗談で言ってるんでしょうけど、「もうご飯、作るの嫌になっちゃった!」
 
● 木 村   読みましたよ、ブログで……、
 
● 菅 間   (ご飯)作りますよ、作ってくれるんですけど。そうするとどこが(コロナ以前とコロナ以後の)どこを境目と見るのかなって、それ、どう考えればいいのかなって。でもこれ、いちばんはじめに言ったんですけど、結局は<常識的な問題>へ、結局は(戻ってきてしまって)そこら辺までしか行けないのですね。言い換えれば<後退した意見>しか言えないんです。自分の健常さ、心の健常さは自分で保つしかないってことしか言えないんです。これは確かにコロナの問題(心までもが感染しているってところが)原因なんだけど、どうやったら心の健常さ、心の健康さを治せるのか、治せるわけはないんだけど、どっかで治すって(治癒する)ことを、演劇やってるとかやってないに関わらず、一人の一般大衆としてできることは、それしかないのかなっていうのが……、
 
● 木 村   ほんとにそうだと思いますいよ。……そのことを考えている時代だと思いますよ。ぼくも長いこと稽古場に行ってないんで、と、自分の居場所が無いんですよね。
 
● 稲 川   居場所が無いですね、
 
● 木 村   居場所が無いんです。いまこそほんとの最後の質問に応えることになるのかわかりませんけど、表現が必要だと思いますよね。
 
● 稲 川   なんかね、コロナで3月大騒ぎになった頃に、丁度あたし螢雪次朗さんのコント芝居に出てて、で螢さんもビクビクで、祈るようなつもりで、みんなビクビクしてるのに、コントでこんなことやってという切ない公演だったんですけど、で2週間経っても劇場サイドもお客さんからも俳優も誰も感染者が出なくて、ひとまずホッとした。あの頃から次々、あたしたちの稽古がはじまって2回か3回やったら全部(公共の貸部屋が)閉鎖されて(稽古も)できなくなって(公演を)中止せざるをえなくなって、そのあと事務所の方の映像関係の仕事もどんどんほとんどキャンセルで、だから半年間なんにもできないっていう……、それで家でなんにもできない……、
 やっぱりあたしも歳とってもまだ表現やりたいと思ってたのかなあって、大根切ったりニンジン切ったり、今日は豚肉、昨日は牛肉だったから、今日は魚にしようとか、メニュー考えるのもだんだん嫌になってきて、メニューが浮かばない……、
 で、段々、あれ、これ、老人性<鬱>のほかにコロナ<鬱>が混ざってるのかなあって、今年70歳を迎える、もうオババと呼ばれるあたしはきっと老人性<鬱>とコロナ<鬱>と区別はできないけど、なんかちょっとその<鬱>の状態に入っていく速度が加速されてますね。でもそれはどうしたら個人としては抜け出していけるのかはかちょっと解りませんけど。この人なんか<鬱>?
 
● 菅 間    <鬱>です、おれ。かなり<鬱>だよ。
 
● 稲 川   なんかやるしかないのよねきっと、なんか。なんにもできないんだけど……、
 
● 木 村   まるっきりわかりますよ、稲川さんの……。おれ、脳天気だからコロナ<鬱>なんかに絶対ならねえぞと思ってたけど、どんどんどんどんなってきてさあ、本棚にはけっこう本はあるんだけど、最初に読み直したのは大岡昇平『俘虜記』。(……大笑い……)こういうことなんだな、いまは。あの、普段ここ(ストアハウスの事務所)にいて呑んだり喋ったりしてるんだけど、夕方5時頃からは『居酒屋・紀子』を開店してますよって。ずっと呑むわけじゃない、やること無いから、
 
● 紀 子   やること無いし……、やっぱりあたしもご飯作るの嫌になっちゃって、なにか自分で仕掛けをしないと作れなくなっちゃってきてるのね、
 
● 木 村   フェイスブックに『居酒屋・紀子』を発表しはじめたんです。要するに晩ご飯ですよ。で開店しました。おかずは何々でした、何々でしたよっていったら、田舎の高校の同級生が心配して大量の八戸の魚とか送って来ちゃって「お前、頑張れよ」って励まされましたね。見ている人がいると思うと頑張れると思うというのは、やっぱり演劇人だった。他人に見られているということがなくなっちゃうとやっぱり人間ダメなんだなと……、(略)
 
● 菅 間   朝の「スーパー・ライフ」っていうストアーは、大変に凄いよって聴いてたから、
 
● 稲 川   あたしたちの行く「スーパー・ライフ」って凄いんです。もう老人が、圧倒的な老人の数。朝、荷物持ちに付いてきてって、
 
● 菅 間   (開店直後の店内は老人でいっぱいで、ぼくも老人だけど、みんな必死の形相で)凄い顔してるんです。こうパァーッって物とって、消えるように(店内)駈けだして行くんだけど、これはやっぱり(この買い物風景の有様はコロナの影響ばかりじゃないんだろうけど)凄いんだなって、
 
● 稲 川   違う店で町屋の駅前に赤札堂があるんですけど、なんかの帰りにそこで二人で、あれとこれと猫のご飯でも買っていくかって、二人でボーッと歩いていたら疾走して行くお婆さんがいて、その当時買う物はちゃんとメモをしてお店にいる時間を短くしましょうっていう話があって、「ワッ!」なにあの人、なにお婆さんが走ってるんだろう。お婆さんが走ってるんです、店内を。凄い形相でウワーッってレジやって、カーッって荷物入れて走って帰った。あの人怖かったんです。そういう人混みの中にいて、自分も高齢だし。お婆さんが走る……、
 
● 菅 間   ちょっと解らないし、困っちゃうのはさ、そういう恐怖って、あの「お岩さんが出てくるよとかさ、あそこへ行くと一つ目小僧が出てくるよ」、「共同の幻想」ですよね。でも「共同の幻想」だって言っちゃうと、実際にコロナが蔓延してるわけだし、それに対して恐怖抱くのは当たり前だし、「共同の幻想」、「原子力発電所の放射能への恐怖」(と同じ)なんだって言っちゃうと、なんにも喋ったことにならない。違う言い方を(喋れなければいけないな)とは、いまでも思ってるんですけどね……、
 
 
 
★ この原稿、続く。
    少し長い休息をいただいて、改めてゆっくり書き足していきます。
 
 
 
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     ★ 木村真悟さんへのインタビューも中盤にさしかかって。
 
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